寺坊侑烏になるまで

4)20代で癌になった

ドキッとする題名ですが、こうやってブログを書いていますので元気です。安心して読んでください。

私は子供の頃から、不本意ながらというか、多分、自分の気持ちが足りないせいで、受験や転校など中学も高校も大学も学力より遥かに偏差値的に低いところに行くことになり、今度こそは!と留年してまで当時、世界一という製薬企業への就職を決めましたが、これも直ぐに退職することになり、納得がいかなくて大学生の時から摂食障害になり、10年以上悩まされました。

思いと違うことばかり押し付ける親から早く逃げ出したくて、彼の「親から自由にしてあげる」の一言で結婚を即決しました。それから20年、親とも色々ありましたが今は仲良くしており、もちろん大事に育ててくれたと感謝しています。夫とはほとんど一緒に生活することなく疎遠になってしまいましたが、ずっと自由にさせてくれて、経済的に支えてくれて、感謝しかありません。

結婚生活は何も困ることはありませんでしたが、まだ大人とは言えない感覚で生きていたので、今までのように自由にのびのび自分勝手に発言するわけにもいかない場が多く、そこでも優等生になれるよう努力しなきゃと自分を変えようと、頑張る方向をかなり間違えていました。

そういう状況だったので、自分で決めて始めたステンドグラスだけは、思うようにやり遂げたい、絶対諦めない!という密かに硬い決心がありました。

無理している状況が普通という息苦しい日常に突然、癌の告知があり、化学的には証明できないけれど、これは絶対ストレスだ!と思うというより、分かる感覚でした。何かを、全部、変えなきゃ、、神様から注意されてる!って感じです。

幸い、切り取れるギリギリのところで癌細胞は収まっていて、簡単な手術で済みました。済みましたけど、、、麻酔の事故にあい、下半身麻酔で意識を失い30分で終わるところが4時間以上かかりました。遠のく意識の一瞬に思い浮かんだこと、心残りという感覚、戻ってこい!と手を握ってくれた若手の先生の力強さ、同じ病室から最期の日の為に個室に移っていったおばあちゃん、自分の血液型が不明で実は末期癌かもしれないとDNA検査をされたこと、、、短い入院期間でしたが、その時の記憶は断片的に鋭い光を放ちながら今も残っています。

がんセンターを退院する朝、1階の暗いロビーで「私は今日帰れる。でも、ここから帰れない人はたくさんいる。拾った命を何に使うのか」と静かに考えながらお会計を待っていた時、窓から光が差し込む場所がありました。

ふわっと、ぼんやり、そこに自分が作ったステンドグラスがあったらいいなと思いました。

誰かが最期の時を過ごしたり、入院する家族をお見舞いに来る人、心が敏感な時に見て、キレイだなぁと感じてもらえる何かを作れるようになりたいな、と思いました。

そして、残った命をステンドグラスに使おう、と決めて退院しました。

東京にステンドグラスの学校があって、前に調べた時には土日のクラスがあったので、春から土日は東京に行きます!と宣言し、資料を取り寄せたら土日のクラスは無くなっていて(><)

そうしたら、そのタイミングで夫が東京に住める転勤になりました。

転勤の知らせを聞いた瞬間に学校に電話して、どれくらい本気で学ばせてもらえるのか?と質問していました。

ここでも、とにかく、いつか、すごい、作品を作れるようになりたい!と漠然と制作についてだけ考えていて、病院に作品を飾ってもらえることはどういうことなのか?について、現実的に思い浮かぶことはなかったのでした。

私の夢物語を周りの誰も注意することなく、話半分に、趣味にはまっている人だと聞き流してくれていたのでしょうけど。

さすがにこの段階までくると、誰か教えてあげて!と思いますね。。。大人なんだから分かっていて当然のことが抜け落ちていました。

退院の日に心で見えた「光の中に浮かぶ、光のような存在の作品」のイメージはぼんやりしていて、今もずっと、その形を知りたくて続けているようなところがあります。

プロになった今は、現実的に実現したいと思っていますが、、普通はどこかに営業に行くってことだと思いますが、どこに行って何と言えばいいのか、やっぱりわからず。生き延びて、制作できているのが奇跡だと思っています。これまで関わってくれた全ての方に感謝です。

今日は公共の空間に制作したいと初めて思った出来事について書きました。次回は学生生活や制作助手を経て、独立するところを書きます。

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ガラス作家 寺坊 侑烏(じぼう ゆう)は「1000年残るステンドグラスを作ります」を信念に、

全国の公共施設、商業施設、住宅の空間に彩りを加えるアートガラスを受注制作しています。

ヨーロッパを中心にステンドグラス視察のために20か国以上訪れ、有名・無名問わず、これは!と思うステンドグラスの紹介とガラスや制作を通じて得られる学びや想いを綴っています。

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  • この記事を書いた人

寺坊 侑烏 Yuu Jibo

旅好きガラス作家。制作の傍ら、ガラスが使われている空間を歩いて探している。今までに20年以上、20か国以上、見つけたステンドグラスは数知れず。女一人、ほとんどボディランゲージで現地で愛される現代の窓を見つけるたびに感動と感謝の涙が止まらない。

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