寺坊侑烏になるまで

3) 注文が道を作ってくれた

お教室に通いだして、最初の課題が終われば次からは自由です。

ステンドグラスの何も知らず始めたので、どんなステンドグラスがあるのかも分からず、どうしようかなぁ?と思っていたら

実家のレストランが場所を移して新築にするにあたって、ステンドグラスにちょうどいい窓があると

半ば無理矢理に、新築祝いとしてステンドグラスを作ることに!(´;ω;`)

請け負ったはいいけど、初めてなのに1枚750mm×750mmで大きなサイズでした(*_*)

北海道鶴居村は丹頂鶴の里として有名で、レストランの向かいには給餌場があり、鶴がたくさん集まる場所でした。

丹頂鶴は翼を広げると5mもある大型の鳥で、警戒心が強く近寄れませんが。建物の横を飛び交うのでレストランからは間近で見れます。

冬の間しか給餌場に出てこないので、夏に訪れる観光客の方は鶴が見れなくて残念に思うだろうと、

せめて生き生きした姿の鶴のステンドグラスを見てくれたらと思い、実家の繁栄という願いも込めて

羽を広げた鶴と朝・夕にキレイに染まるオレンジの空を表現したパネルをデザインしました。

デザインの過程でガラスの柄を生かしたカットラインの入れ方やアメリカ式ケームの組み方を先生にご指導頂きながら

週に3回以上はお教室に通い無我夢中で作りました。

このパネル2枚をギリギリ作り終えた段階で、夫が転勤になり札幌を離れ仙台へ。

仙台でもステンドグラスを続けたいと思い、幾つものお教室を訪ねましたがピンと来なかったので家で一人で作る毎日がスタートしました。

パートや正社員で薬剤師の仕事を続けていましたが、札幌でも仙台でも夫は週末しか帰れない仕事だったので、ずーっと作っていられたのでした。

仙台ではガーデニングにはまり、植物を入れたテラリウムをガラスで作ったり趣味として謳歌していましたが

知り合った方からステンドグラスを玄関に入れたいと依頼されたので、お子様の熱帯魚の絵を表現するためにフュージングに挑戦。

札幌の先生がアメリカの大学でステンドグラスを学ばれた方だったので、札幌まで行って制作させてもらいました。

その後、東京へ転勤になったので、ステンドグラスアートスクールに2年通いました。

その間、知人の紹介でステンドグラスが欲しいという方がいて、これもまた学んだばかりの絵付けを少し入れた大型パネルを制作しました。

どの方からのご依頼も、とっても欲しい!と思ってくださっていて、頑張らなきゃ!と意義を感じるもので、その度に新しいことに挑戦し、私にとって学びの連続でした。この先も自分に足りないことを指摘してくれて、習得するチャンスのようなご依頼が続き、少しずつ作れるようになっていきました。

依頼されていましたが、まだプロになる頭は全然なくて、材料費だけ戴いていたので贅沢なガラスの端材と知識や技術がたくさん残り。「他人に喜んでもらえただけでなく、得るものがあって、なんて私は幸せなんだ!」と思いながら、薬剤師の仕事で生計を立てて本気の趣味としてステンドグラスがあるというマインドでした。

今も昔も制作している時の気持ちは同じで、私は自分の為に表現するアーティストタイプではなく、その場・その人に必要だと思う自分なりの答えに向かって集中する方が向いている気がします。

多分、最初の頃から依頼されて制作することが続いたのでそのように育ったのだと思います。

徐々にお客様の本当に欲しいものは何か?表面的ではないところに私の価値を感じてくれていることが分かってきました。

想いを汲み取ろうとする姿勢や一生懸命作ること、光や空間の使用方法・作品の役割について最適を目指すこと、私にしか出来ない技術やデザインなど、お客様には私に頼みたい理由があることを知りました。

今回は注文が私の技術とマインドを育ててくれたところを書きました。次回はようやくプロを意識した初めの出来事について書こうと思います。

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ガラス作家 寺坊 侑烏(じぼう ゆう)は「1000年残るステンドグラスを作ります」を信念に、

全国の公共施設、商業施設、住宅の空間に彩りを加えるアートガラスを受注制作しています。

ヨーロッパを中心にステンドグラス視察のために20か国以上訪れ、有名・無名問わず、これは!と思うステンドグラスの紹介とガラスや制作を通じて得られる学びや想いを綴っています。

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  • この記事を書いた人

寺坊 侑烏 Yuu Jibo

旅好きガラス作家。制作の傍ら、ガラスが使われている空間を歩いて探している。今までに20年以上、20か国以上、見つけたステンドグラスは数知れず。女一人、ほとんどボディランゲージで現地で愛される現代の窓を見つけるたびに感動と感謝の涙が止まらない。

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