東京に引っ越して週3日はステンドグラスアートスクールに通い、週2日は薬局で勤務の日々。東京には行きつくせないほどの美術館やギャラリーがあって、とにかく自分が何も知らないことだけは分かるので、アートスクール卒業後は武蔵野美大の通信課程に入りました。
アートスクールの卒業時にホームセンターで講師のお話もありましたが、ガラス工房で制作助手の仕事を選びました。
アートスクールでは絵付け、ガラス工房ではフュージング、ムサビではデザインと銅版画を学びましたが、技術は学べてもプロになる方法は教えてくれません。今も分かってないですが、運任せなのでしょうか。。。
いつも、とにかく必死に生きていて。100やったうちの10か20を誰かが見て分かってくれて、何かを紹介してくれて、細い糸をたどってギリギリ生きている感じで、少しだけでも報われることに感謝しかないです。全ては「人」。
私は、こういう道に進んで来ましたが、出会いが変われば違う道だったと思います。良いも悪いもなく、どの道もその人にとっては全力しかないでしょう。
勉強の怖いところは、知れば知るほど自信がなくなるところです。皆さん、何かを得れると思っていませんか?
もちろん出来るようになることもあります。しかし、同時に追いつけない実力を持っている人を知り、出来ない自分と向き合いながらダメ出しの日々です。自信をつけたくて勉強するのに、どんどん自信がなくなる矛盾!
プロになるって、値段をつけることです。自信が持てないことを販売できないので、勉強するとプロから遠ざかる面もあります。
学校を卒業してグループ展をした時にステンドグラス業界で重鎮の先生が来場しました。その方は決して名乗らず、作品をじーっと眺めながら「あなた、勉強しすぎちゃダメよ」と声をかけてくれました。後日、お葉書が送られてきて「久しぶりに才能がある人に出会いました。頑張ってください」と書かれていました。
私はこの先生の「勉強しすぎる」の意味は、正しい勉強を続け、変な勉強をするな、の意味だと解釈しましたが、勉強すると自信がなくなる意味も含んでいた気もします。
押しつぶされそうな想いだった時期に、この先生からお言葉を戴いたり、初めての個展で作品を購入して下さった優しさに感謝しています。
ステンドグラスに出会って20年以上が経ち、技術的には作れるようになりました。私より上手い人も面白い作品を作る人もいます。売るのが上手い人や有名になる人、大きなお教室を経営されてる人、材料を追及して会社にした人、色んな人がいますが、、、どの人もその人らしいことをした結果で、すごい!と思います。
私は私の価値観で興味がわくことを真摯に学び、制作に向き合う、出会った人・事・物を大切にする。そして、ふわっと軽く適当に楽しむことを忘れないのが大切なのではないかと思っています。
ガチガチ・ゴリゴリにやった時期を超えて、自分の良さや人から求められることについて考えられる余裕が出来るのはだいぶ後になってからです。必死にやっていたからこそ、同じような経験をもつ方から応援してもらえて続けてこれました。
今日は学校や助手をしながら出会うこと全部に無我夢中だったことを書きました。次回は工房から独立した当たりのことを書こうと思います。
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ガラス作家 寺坊 侑烏(じぼう ゆう)は「1000年残るステンドグラスを作ります」を信念に、
全国の公共施設、商業施設、住宅の空間に彩りを加えるアートガラスを受注制作しています。
ヨーロッパを中心にステンドグラス視察のために20か国以上訪れ、有名・無名問わず、これは!と思うステンドグラスの紹介とガラスや制作を通じて得られる学びや想いを綴っています。
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