寺坊侑烏になるまで

9) ガラスと薬剤師で目指すものは同じ

私の願いは、みんなに元気になって欲しい。ってことです。

「元気」は気の元。元気な人は「気」を発信する人で、周りをどんどん「元気」にします。

薬剤師の仕事は毎日「病気」の人に会う仕事です。自分の元気を病気の人に分ける感覚がありました。

身体は病気でも精神が健全で元気な人もいますが、身体は健康でも心が病んでいる人もいます。

身体の病気は基本的に治りませんが、精神は気の持ち様で一瞬で明るく晴れ渡ることもあります。

患者さんが、私に会うことによって少しでも気分だけでも明るくなって欲しいなぁとずっと思っていました。

薬剤師は自分が接する人にしか伝えれませんが、ガラス作家は作品をパブリックな場に置けると会う機会のない方にも伝えられる気がします。

製薬会社で働いている時も、新しい薬を広めるところに携わると、自分の活動がより多くの人に届くのではないかという点がモチベーションになっていました。

ざっくりと自分を見直すと、出来るだけたくさんの人に「元気」になって欲しいという想いが自分を動かしていると思います。

ガラスは光が透ることで、色や艶、輝きが見える素材です。そこには必ず光が必要です。

色が見えることで、光が存在していることを伝えたい。

光は、どの人にも平等に存在し、明けない夜はありません。

そういったことに気づけるのは、心が元気をなくして敏感になっている時なのかもしれません。

敏感な心にこそ芸術の果たす役割があると思います。

伝えたいことが決まっているので、関係がありそうなことに出会うととにかくチャレンジしてきました。

願いや想いが強すぎても鬱陶しいだろうというのと、ガラスに自分の中の気を吸われる感覚では続けられないので、レイキヒーラーの資格を取りました。目に見えないので、結局のところよく分かりませんが、、、レイキはアメリカでは健康保険が適応になる治療として認められる確かな効果があるそうです。

色の効果や組み合わせを知りたいのと、色覚異常の方にも楽しんでもらいたいので、色彩検定UD級も取りました。

色覚異常者(色弱・色盲)は人口の5%ほどいるそうで、血液型のAB型と同じくらいなので、珍しいことではないです。

父が色弱で、母の庭に花が咲くと、本当はどれだけキレイな庭なのか見てみたいとよく言っています。

色が境目なく混在すると見にくいようですが、ステンドグラスのように枠があって、明度差があると、色も感じられるようです。

父が色に対して鈍感なのと真逆に、私は共感覚という何でも色を感じる特性があり、「色の音が合っていない」とか「ターコイズブルーの人」「緑の数字」など謎の言葉で考えを説明していることがあります。

そのことにずーっと気づいていませんでしたので、「何言ってるか、わからない」とよく言われていました。

今は共感覚が特殊な物だと知って、楽しんでいます。ちょっと得した気分。

見た目のキレイやカッコイイも重要ですが、私のような共感覚の人には、音が合ってる作品を。色覚異常者の方にも安心して色を楽しんでもらえるコントラストをつけた作品を。目が見えない方には触り心地が違うよう凹凸がついたガラスを使った作品を。なるべく多くの人を元気にできるよう配慮したいと思っています。

もちろん、作る私が元気でなければ何にもならないので、自然やアートや音楽や文学に触れて、気持ちの良い状態で制作することも心掛けています。もっと勉強したいし、もっと制作したいです。

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ガラス作家 寺坊 侑烏(じぼう ゆう)は「1000年残るステンドグラスを作ります」を信念に、

全国の公共施設、商業施設、住宅の空間に彩りを加えるアートガラスを受注制作しています。

ヨーロッパを中心にステンドグラス視察のために20か国以上訪れ、有名・無名問わず、これは!と思うステンドグラスの紹介とガラスや制作を通じて得られる学びや想いを綴っています。

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  • この記事を書いた人

寺坊 侑烏 Yuu Jibo

旅好きガラス作家。制作の傍ら、ガラスが使われている空間を歩いて探している。今までに20年以上、20か国以上、見つけたステンドグラスは数知れず。女一人、ほとんどボディランゲージで現地で愛される現代の窓を見つけるたびに感動と感謝の涙が止まらない。

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